仕事力 「編集しながら生きよう」藤原和博 1/5

私はこの人の話を朝日新聞の公開講演会で聞いたことがある。平成17年ごろであったと思う。提唱するよのなか科の授業もその中に織り込まれていた。

これからは情報処理力ではなく、情報編集力が問われる時代という骨子はわが意を得たりと思った。

松岡正剛の編集学校もインターネットでその前年、受講し、毎晩遅くまで「お題」に取り組んだことが懐かしい。
さて、内容の紹介。

日本の経済成長というのは1997年ごろが最後のピークで、そこから終焉に向かった。それ以後、98年から個人消費はずっと落ち続け、そこを転換点として成長社会から成熟社会へと移行して14年が経過。

だから現在の中高生にとっては成長社会も成熟社会もなんのことか分らないだろう。24,5歳までの人にとっても。

そして彼らは先生や親が教える人生ノウハウではこの社会では同じかそれ以上の幸せは手にできないことを肌で分かっている。

ガンガン物を作ってそれを消費する社会での方法論ではなく、周囲に有り余るほどになった物や情報をどうやって自分の知恵で編集していくか。その一人一人のフィルターこそこれからの仕事力ではないだろうか。

僕が初めて民間人校長として生徒の前に立った時、裸で人前に立ったような怖さを感じた。ビジネスでさんざん揉まれ多くの講演もこなし相手が大人なら大体反応を予想できる世界からその経験が全く役に立たない場所に立ったのだ。

「自分が今まで蓄積してきたこととは一体何なのか」「子どもたちの価値観から見て、それは価値のあることだろうか」また、時代や社会を僕自身の考えでつかんでいなければ真剣に生きている子どもたちの前でブレてしまう。心して新しい関係を切り結んで行った。

中学生くらいになると大人の人生を読んでくる。この人は一生懸命生きているか。人生を楽しんでいるか、楽しい人生とはどんなことか。

「仕事が合わないから辞める」というのではなく、「この仕事を工夫しておもしろくできないか」と修正する発想を子どもたちに伝えていきたい。大人も自分の仕事を何度でも修正主義で見直すべきではないだろうか。

(端折っているので文責はtakikioにあり。)