ルーシー・リー展
茶会の連客は京都の人達で、この日、午前中は姫路市立美術館で開催されているルーシー・リー展に行き、とてもよかったという。
イギリスの女性陶芸家であること、何点か書物で作品を見たことがあることぐらいの接点だった。ただ、名前の響きがよくてどんな人なのだろう、どんな作品をつくるのだろうと思っていた。
11月8日日曜日、姫路の茶華道大会のお茶会に友人を誘っていたので、午後はルーシー・リー展に行かないかと誘う。
正解。充実した一日になった。
いろんな表情の陶器や磁器の作品が並ぶが静謐という言葉が浮かぶ。品格のようなものがどの作品からもたちのぼる。洗練されているけれど、冷たく取りすましているのではない。手にとって使って欲しい、あなたにと言っているような作品たち。
会場の途中に自身、ルーシーの作品のコレクターでもあるデービッド・アッテンボローのつくったドキュメンタリービデオが流されている。
80歳を過ぎ、トレードマークの白いエプロン、白い服、白いスニーカーのルーシーが作品を作る様子、その彼女にデービッドが様々にインタビューする様子が映し出されている。
素敵な、チャーミングなおばあさん。淡々と答え、とても清々しい。
床下の電気炉から作品を取り出すときに足を伸ばし、前屈みになって、デービッドに「あなた、足を押さえて」と頼んでいる様子が微笑ましい。
バーナード・リーチを通して浜田庄司とも交流があった彼女。周囲がもし彼女と浜田庄司との結婚が実現していたらどうなっていただろうと話題にしたときに、皆は「私ならきっと彼を日本の従順ないい奥さんに仕立て上げていただろうですって」と笑い転げたという。物静かで控えめだけれど直情径行でしっかりした批判精神と強い意志も併せ持つ人だった。ユダヤ人でオーストリアに生まれる。ナチスからの迫害を逃れてイギリスに渡る。
結婚前の姓はゴンペルツ。結婚してリーになった。しかし、夫とはお互いを思いやりながら離婚する。
ルーシー・ゴンペルツという名前なら私は興味を持たなかったかも。
- 作者: エマニュエルクーパー,Emmanuel Cooper,刈茅由美
- 出版社/メーカー: ブルースインターアクションズ
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