テレビと新聞

朝日歌壇に歴史学者の直木孝次郎さんの歌が時々選ばれている。そのうち諏訪兼位さんという人も選者の書いておられることからどうも学者だなと感じられる。でもどんな人か知らなかった。

それが昨日、わかった。

我が家は10時過ぎに朝食兼昼食を摂る。そのときにBSプレミアムの過去に放送されて評判のよかった番組を再放送する時間帯にあたっていてそれを見ながら食べる。ここ何日間かは地球大進化だった。

大変動の度にその事態に対応したものが生き残るという繰り返しで進化してきた歴史を新しい知見とともにうまく料理して見応えのある番組になっている。その中で酸素濃度のうんと下がった時代があった、それは地層にベルチェリンという鉱物がみつかることでわかるという説明があった。

はじめて聞くベルチェリン、どんな鉱物だろうとググってみたところ、ケイ酸塩化合物の一種で鉄を含み、蛇紋石のグループに入るとあった。その説明の中で諏訪兼位(かねのり)さんと出会ったのだった。

高名な地質学者であり、一方で歌を詠み、朝日歌壇の賞にも選ばれるほどで、またスケッチの名手で出版した歌集にはそのスケッチが織り込まれているとのこと。永田和宏さんも生物学者歌人。バランスが取れていていいなぁ。


今日は月一回掲載の論壇時評の日だった。源ちゃん(高橋源一郎)は今回、何に注目するのだろうと目をやると、映画「野火」、映画「首相官邸の前で」、そして会田誠だった。同い年である源ちゃんとなんか興味関心が似ている気がしている私。最後の部分を抜き書きする。

 東京都現代美術館で公開中の「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展へ、会田誠が妻と息子の3人で出品した作品が美術館から撤去要請を受けたとされている。その一つが、「文部科学省に物申す」と題され、天井から吊された布に書かれた「檄文」だ。
 それは、「会田家の日常会話のうち、『日本の教育への不満』を抜き出したもの」がベースになっているが、たとえば、「かばんが重い」とか「従順人間を作る内申書というクソ制度」とか「大学から哲学を追い出すどころか中学から道徳追い出し哲学教えろ」といった、しごくまともな呟きにすぎない。
 会田は「会田家」を代表してこのように書いている。「『個々人が持っている不平不満は、専門家でない一般庶民でも、子供であっても、誰憚ることなく表明できるべきである』というのは、民主主義の『原理原則』『理想』です。簡単に言えば『我慢しなくたっていい』『声を押し殺さなくていい』−その基本的な人生態度を、僕は子どもたちにまずは伝えたいと思いました」
 はっきりとした説明のないまま会田の作品が撤去されようとしているのは、この作品が、ある種の「社会常識」からは危険なものと感じられるからだ。
 この国では「民主主義の原理原則」や「理想」は、あってはならない「狂気」の一つにされつつある。そのことの意味を、「おとなもこどもも考え」ねばならない。会田家の芸術的実践とそれが引き起こした波紋は、その貴重な「記録」となるだろう。

会田誠氏のHPです。http://m-aida.tumblr.com/

源ちゃんの論壇時評のテーマは「記録」だった。

「野火」は7/25に封切りされたが兵庫県では8/1からになる。監督であり主演の塚本晋也さんについて調べる。この映画、見なくちゃと思った。