ロング・グッバイのあとで
頼んでいた本が来る。瞳みのるの「タイガースでピーと呼ばれた男 ロング・グッバイのあとで」。
正直に率直に書き綴っていて私は好感を持った。そして求めて動く人だった。
いいと思えば、民青に入り、創価学会に入り、常に求めてきた人だった。
親を頼らず生きてきたことも自分を偽らずに書き綴り、「よく、子を持って知る親心というが僕の場合、子を持って、親がほとんど何もしてくれなかったことが身に染みて分かった」と書いている。
タイガースを辞めて実家に帰り、定時制高校の4年に復学して猛勉強の日々も父は部屋代、食費をとったという。
流されずに自分を貫く強さが彼にはある。そして、したたかさと覚めた目。それに努力家であること。努力できる人であること。
あとがきに、「原稿を改めて読み返してみると、言葉足らずのところ、自分勝手で一方的とも思える書き様、配慮が足りないと思われる部分などが目につく。しかし、僕は当時の、それぞれの時間、それぞれの時点での思いや行動をあえて美化、あるいは『調整』せず、なるべく直接正直に表現することによって自分の過去をさらけ出すことにした。もしそれに傷ついたり、不快に感じる人がいたらどうかお許しいただきたい。ピーや人見豊はその程度の男とご寛容いただきたい。さらけ出す以外に僕の六十年あまりの人生をみなさんに理解して頂く術はないと思ったからだ」とある。
本人も自覚しているように記述が少しぎくしゃくしているが、なかなかの人物であり、大した人だ。ここまで自分をさらけ出して書ける人はいない。人にどう思われてもいい、とにかく努力して自分の人生を創ってきたぞという自信に裏打ちされての覚悟だろう。
- 作者: 瞳みのる
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/02/25
- メディア: 単行本
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