散髪屋さんで

歩いて5分ほどのところにある散髪屋さんに去年から通っている。
おしゃれな外見だし、店の名前もしゃれているし、美容院と思って入ると理容店だった。

30過ぎのお兄さんが一人で切り盛りしている。

シャンプー無しで2500円というのも魅力だが、このお兄さんがきさくで誠実でいい人なのだ。

いろんな話をするが楽しい。

先日はテレビの話をした。

私が先日NHKスペシャルで見た「世界最強伝説 ラスベガス 世紀の一戦」を話題にしたら、見た!見た!と二人で興奮。

彼のお父さんもボクシングが好きで、放映当日もわざわざ、携帯に電話してきて「あるぞ!見ろよ。」店の後片付けも早々に帰宅してテレビ前に陣取ったとのこと。

私も普段はボクシングのことなど関心ないのに当日のNHKの番組宣伝でこれはおもしろそうだなと感じ、「八重の桜」が終わった後もチャンネルを変えずに待った。

期待以上の内容だった。

こんな生き方をしている人がいる。。。。パッキャオの真摯さ。

フィリピンのミンダナオ島のジャングルで極貧から身を起こしたパッキャオ。自らを“出稼ぎ国家”フィリピンの一員と位置づけ、様々な形でファイトマネーを祖国に還元してきた。金銭的支援にとどまらず国会議員にも立候補、政治家として貧困と立ち向かう。(NHK番組紹介HPより)

政治家にまでなって貧困と闘っているというのは聞き逃していた。

自らを闘鶏の鶏になぞらえ、負けたら一巻の終わり、地獄が待っているだけと死にものぐるいでがんばってきて、

負けた・・・・もろに顔面にパンチを受けてノックダウン。

どんな顔をしてミンダナオ島に帰ろう。。。飛行機を降りて憂鬱な思いで車を走らせる。

すると沿道に20万を超す人々が待ち受けていたのだ。口々に「ありがとう!」と言って。

「こんなこと想像もしなかった。負けたのにこうして出迎えてくれるなんて思いもしなかった。俺が国を背負っていると思っていたけど、実は支えられていたんだ」

私は涙、涙だった。


その感動をお兄さんと共有できて幸せだった。