秋の一日、1万7千歩、国宝5つ

朝7時半に家を出る。京都に9時過ぎに着く。目指すは堀川通りに面した茶道資料館。

姫路藩主酒井宗雅の残した『玄武日記』『逾好日記』を基にこの殿様がどのように茶の湯茶の湯を通した交遊を楽しんだのか、日記に登場する茶道具と合わせて展示した秋季特別展「茶会記にみる茶道具−姫路藩主酒井宗雅の茶と交遊」を観る。

酒井抱一の兄に当たる。18歳で藩主になり、わずか36歳で没す。松平不昧公が茶道の師。晩年には年に120回もの茶会を楽しんだ。

その茶会の様子を克明に記録している。

去年は姫路市立美術館酒井抱一展を観た。そこに登場する、兄、宗雅。今回の展覧会の予告を見たときから是非行きたいと思っていたが実現できてうれしい。

こんなに優雅に茶に邁進できる殿様、よほど家来、時代に恵まれていたのだ。

この茶道資料館では呈茶がある。田丸弥の弥㐂ぐ里というお菓子でいただいた。

11時前に資料館を後にし、市営地下鉄、JRを乗り継いで大阪にもどる。北新地駅まで歩き、東西線に乗って大阪城北詰駅で降りる。めざすは藤田美術館

第二次大戦で焼け残った藏が美術館になっていて、独特の雰囲気を持つ。藤田伝三郎のひ孫の息子さんが学芸員としてつとめられている。先日、日曜美術館に出ていた。

お目当ては国宝曜変天目茶碗。やはり美しかった。銀河のように浮き出た青系統の曜変。この他、国司茄子茶入れ、菊花天目茶碗、御所丸黒刷毛茶碗銘夕陽、同じく銘緋袴、光悦作白楽茶碗銘白狐、利休黒町棗銘再来、砧青磁茶碗銘満月、尾形光琳が絵を描き、乾山がつくった南天色絵四角形火入れ、南蛮大鉦etc、etc、目福の数々。他に国宝2つ、深窓秘抄紫式部日記絵詞。深窓秘抄の大飛雲と呼ばれる料紙もすばらしい。

園内の紅葉も美しかった。

次に目指すは大阪市立東洋陶磁美術館天満橋まで戻って南森町から地下鉄堺筋線で北浜駅でおりる。難波橋を渡ればすぐ。この難波橋がりっぱであった。

うまく写真が撮れず、ウィキペディアの写真を借りる。

ライオンの阿吽像。

橋からは満月に近い月と伊丹空港を飛び立ったのだろう飛行機がみえた。写真はうまく撮れず。

さて、大阪市立東洋陶磁美術館

お目当ては国宝油滴天目茶碗。天目台にも焦点を当て説明がくわしかった。同じく国宝の飛青磁花生も観ることができた。中国陶磁の部屋、韓国陶磁の部屋、日本陶磁の部屋にわかれ、かなりの展示数。先日の篠山の陶芸美術館でみて自分の中に中国陶磁に対する慣れというか目が少しできているのがわかってうれしかった。

外に出るとはや日が陰ってきている。4時過ぎ。まだ時間がある。大阪美術倶楽部に足を伸ばす。十翔会の案内をもらっていた。茶道具の展示即売会。手にとって見ることができるので勉強になる。ここも呈茶があり、おいしい愛知県西尾市の抹茶をいただく。

自宅には6時に着く。よく遊んだ秋の一日だった。満足。

移動中の車内は『身体知 からだをちゃんと使うと幸せがやってくる』を読む。おもしろい。じわじわカラダに浸透する本。内田樹三砂ちづるも刺激的な人だ。本音で生きている人たちなのだと思う。