秋の日のつるべ落とし

ほぼ一ヶ月ぶりの篠山のお仕覆の講習会。
篠山の冷気に洗われる心身。

道中の紅葉も、今年は赤がきれい。

先生は沖縄出身の方で、沖縄の現実をときどき話してくださる。車の中で聞いたラジオで高校生の就職内定率、全国平均が48%で、富山、福井が高くて67%だったか、沖縄のそれは9%と聞いて耳を疑う。そのことを話題にすると、ホントに仕事がないのだ、それでも親族が助け合うというところがあって何とか社会がまわっている。基地との関係も現実はなかなか一筋縄ではいかないという具体的なお話に返す言葉がみつからない。何を言っても気楽に無責任に思える。

御物袋の半分まで進む。綿入れの座布団をつくってまわりにつがりで緒をつける。

途中で友人のご主人が出てきて、先日の香雪美術館のお茶会の話をしてくれる。今、開催されている『寛永文化の茶人たち』にちなんでの茶会で、お道具はすべて本物、収蔵品。ご主人は薄茶席の方の水屋の手伝いを担当したとのこと。仁清の水差し、冠の形をした、が素晴らしかったとのこと。仁清は丹波の出身だそうだが、そのことがしのばれる渋い水差し。

当日の茶花を頼まれ、前日、篠山の山に入り、探すこと3時間、使えそうな照り葉をいくつか選んでもっていって喜ばれたこと。

2時間があっという間に過ぎる。

秋の日のつるべ落としを実感する帰りの道中だった。澄んだ空のきれいなこと。