お米を取りに行く

家で食べるお米は友人から買っている。

今日は友人宅までお米を取りに行った。

車で90分弱。のどかな田園地帯に友人宅はある。

家まで行くのは始めて。昨年は宅急便で送ってもらった。

91歳になるお母さんも待っておられた。

10年ほど前までお茶とお花の先生を自宅でされていたが今は認知症も少し入り、体も震え気味でお茶から遠ざかって久しい。

藏の整理をしたらお茶道具がたくさん出てきたので私に見てもらいたいといわれる。ずっとホコリをかぶってしまい込んでいたが藏にシロアリがみつかり駆除をするにあたって運び出して並べてあるという。

お茶の分かる人に見てもらったらお道具が喜ぶとお母さんが言うのでいつかいつかと思ってちょうどこの機会を活用してという。

そんな大役、私に務まるかしらと恐る恐る座敷にあがる。

8畳の部屋いっぱいに並べてあった。初対面のお母さんとやりとりしながらお道具を見せていただく。

友人はそんなお母さんに育てられながらお茶の心得は全くなしできた。やらないのだからそのうち骨董屋に連絡して売り払おうと考えていたが、こうやって並べてみるとお母さんの愛着のお道具、今の時代、買いたたかれるのは目に見えていて、なんだか忍びなくなってきて、お茶を習ってもいいなぁと最近考え始めたという。

お母さんと二人して、お茶の魅力を語ると、本気になってきて手始めに公民館のお茶の教室を探してみるという。

認知症と聞いていたお母さんの顔が輝いておられる。ひとみが光っている。

そのうち、この中で好きなお茶碗を選びなさい、それでお茶を点てようと言ってくださる。

お菓子をいただき、お抹茶をいただいた。

するとそのお茶碗をプレゼントしようと言われる。固辞したが、熱心に言ってくださるのでいただくことにする。




さっき、友人からメールが来て、お母さんが今日はほんとに楽しかったと言っておられるという。

私もほんとに楽しかった。親戚の家に遊びに行ったように心がほどけた。