「NZの教育事情(下)」

続いて教育欄「NZの教育事情(下)」。

ニュージーランドNZも教育委員会を全廃し、保護者が学校を切り盛りしている。

NZと大阪の共通点の一つは教員や教職員組合が学校を仕切ることへの警戒感。

NZも23年前に教育委員会を全廃する際、政府は理事会が教職員組合に乗っ取られると心配した。

そのためにやったことはNZでは校長の権限を強化するのではなく、保護者でつくる学校理事会の運営基盤を支援や評価で強めた。学校理事会連合会NZSTAが新任理事への研修や電話相談を通じて経営管理のノウハウや決算書の読み方を指導し、理事会をバックアップする。

大阪では保護者を教育サービスを受ける「消費者」とみるのに対し、NZは教育を作り出す「当事者」とみる。

不適格教員についてもNZは雇用主である理事会が罰したり解雇したりできるがNZSTAは懲罰的な人事をする前に話し合いを重ね、授業や指導の改善を促すよう理事会に助言する。無理な解雇は保護者を労働裁判の被告にしかねないからだ。

大阪でも保護者でつくる学校協議会が地域の保護者から不適格教員排除の申し立てを受けて校長に伝える取り組みが始まったが、その教員の扱いを決めるのは校長。

保護者が当事者として慎重に処分にかかわるNZと違い、大阪は消費者としてクレームをつける権利を認めた形。

校長観にも差がある。大阪では教育に外部の視点を入れるため、弁護士や経営者も校長になる。NZでは校長に求められるのは理事会が決めた教育目標を具体的な実践を通して実現すること。プロとしての教育経験は必須なのだ。





以前、NZの学校でカウンセラーをしていた人の話を聞いたことがあるが、先住民の尊厳、人権、文化を認め、社会に開かれた形で教育目標を定め、フェアで明るい学校作りを感じ、好感をもっていた。