思い出すままに

昨日の朝日新聞文化欄に、

「根付」価値を再発見  高円宮妃久子さま

という記事が掲載されていた。

 印籠(いんろう)などを下げる留め具に動植物や人物を造形した「根付(ねつけ)」。江戸時代に装身具として使われたこの美術工芸品の研究論文で、高円宮妃(たかまどのみやひ)久子さま(59)が大阪芸術大(大阪府河南町)で博士号を取得した。先行研究はほとんどなく、論文は今月から大学のウェブサイトで公開されている。海外の研究者向けに英訳の作業も進んでいる。

 武士の印籠のほか、町人のたばこ入れなどにも付けられた根付には彫刻や漆器、蒔絵(まきえ)、陶磁器などあらゆる技法が使われ、「手のひらに収まる大きさに、美術工芸の技法や、昔話などの寓意(ぐうい)が込められている」と久子さまは魅力を語る。

 明治以降、根付は洋装の広がりとともに姿を消し、多くが海外へ流出した。1960年代末、久子さまは留学先の英国の博物館で根付を見て、海外での評価の高さを知った。英米両国などには保有する根付が数百〜数千点に及ぶ博物館もあるという。84年に高円宮さまと結婚した後は、ご夫妻で作品や文献を集め、作家の育成にも取り組んだ。

 2002年に47歳で急逝した高円宮さまをしのぶ展覧会を開いたのがきっかけで、久子さまは07年度から大阪芸術大の客員教授に。学生らに教える中で「国内で根付に関する学術論文は皆無に近い。誰かが書かなくては」と思い立ち、3年半かけて論文をまとめた。題目は「根付コレクションの研究 高円宮コレクションを中心に」。根付の起源について江戸時代の風俗文化を考証し、「他国にも帯から物を下げる習慣はあったが、留め具ごと着脱できる方式の考案により、根付そのものが鑑賞の対象となり、日本独自の根付文化が培われた」と分析した。根付の種類や海外コレクションを分析し、有数の収集家だった高円宮さまの保護育成の取り組みも詳述した。「根付研究は主に海外で進められてきたが、これから新たな研究や調査が加わるのは日本からであろう」と、国内での研究の広がりに期待を寄せる。

去年の秋に京都の相国寺承天閣美術館で肥後松井家の名品展というのが開かれ見に行った。

http://d.hatena.ne.jp/takikio/20111111/1321019367

そのときにほれぼれしながら根付を拝見した。あまりのすばらしさにため息が出た。

そのコレクターでいらしたのだな。

そして【2002年に47歳で急逝した高円宮さまをしのぶ展覧会】にも縁がある。

松岡正剛のインターネット編集学校に入学して夜な夜な宿題に励んでいた私は時々案内の来た編集工学研究所主催のパーティーなるものに一度参加してみたことがある。そのときの参加条件は「おしゃれをしてくること」。

考えに考えて私は母に作ってもらって以来、袖を通したことのない紗の着物と帯で行くことにした。その当時はまだ自分で着物は着ることはできなかったので朝早く美容院に着付けを頼み、東京に向けて出発。

少し早く着いた私は会場である赤坂の草月会館の近くを散歩してみることにした。高橋是清公園をまわったあと、少し行くとカナダ大使館があり、見ると急逝した高円宮殿下のイヌイットに関するコレクションを展示しているという。寄ってみることにした。根付は記憶にないが、イヌイットの彫刻のおおらかさにひかれて心がほころんだことを覚えている。

一方でこの方は根付に大きな関心を寄せられていたのか、そして奥様が論文を書くまでに。。。

そのコレクションを是非拝見したいし、論文も拝読したいと今、思っている。

そしてそのパーティーでずいぶん着物をほめられ、しばらくしてお茶のお稽古には着物で行くことを決め、今に至り、少しはまともに着れるようになった。