ギリシャの映画 追記あり

8/5、ツレアイに誘われ、映画に行く。

今年1月に交通事故で亡くなったギリシアアンゲロプロス監督の二作品。

「シテール島への船出」「狩人」。

13:20から始まって終わったのが19:00前だった!たっぷりつきあう。

前者は途中で寝てしまい、話を一部見逃している。目が覚めると昔、主人公一家が暮らしていた山の村に行き、そこで32年ぶりに亡命したロシアから帰国してきた父に親友が昔から無法者や山賊の間で使われてきたという口笛言葉で歓迎する場面だった。小鳥のさえずりのように口笛が呼応する。それから後半、父が再び送還される予定の港での出来事が続く。土砂降りの雨の中で物語が進む。山の曇天の雪道、出だしも曇り空だった。青空のシーンはほとんどなかった。
後者はミステリーのようなところもあり、また、ギリシャの歴史について何も知らない私には衝撃だった。トルコからの独立後、共和制になり、王制が復活し、ドイツイタリアに占領され、英国の統治を受け、米軍が駐留し、2年にわたる内戦があり、王制下でのパパゴス政権、続く中道左派パパドレウー政権、軍事政権、共和制パパドプロス軍政、カラマンリス文政、民主制、社会主義政権、保守民主主義党政権が続き、今の混乱へと続く。映画は1977年民主制のもとで米軍が駐留した時代からを振り返る巧みな構成で、このめまぐるしい変化の中で人々がどう生き抜き、どう裏切り、どう失脚し、今があるかを舞台劇のようにして進む。

昔、「永遠と一日」を観て、じわじわと後になるほどしみ入ってくる映画を作る人だなと思った。そのときの翻訳が池澤夏樹だった。へぇ、この人はギリシア語ができるのだとびっくりしたが、今回の二作品もそうだった。

ある映画評に黒沢清監督が、アンゲロプロスの映画について「映画を志す全ての若者にアンゲロプロスをすすめる。どうにかして人生を変えたいと思っている人にもすすめる。今のままでいい、十分だ、何ひとつ変わってほしくないと思っている人にはすすめない。」本当にそう思います。映画好きだから、という理由だけではすすめられないのですね。むしろ、「今のままでいい、十分だ、何ひとつ変わってほしくないと思っている人」は観ないで欲しいです。
アンゲロプロスギリシャの歴史、特に政治的な背景を好んで、人間の行いというものをつきつめてきますから、「嫌なものは見たくない人」「いつまでも体に何の栄養にもならない甘いものだけ食べていたい人」には苦痛、または退屈に他ならないからです。』
とあった。なるほど。。。

元町映画館。名前は聞いていたが、初めて行った。あるポリシーをもって上映作品を選んでいる小さな映画館。観客もまた、指向性の高い人たちに見受けられた。11/2までアンゲロプロスの10作品を順次上映している。

http://www.motoei.com/

元町通りは早々と店じまいしていて、まだ開いていた陶器店で手書きで模様を描いた織部の鉢が7割引で出ていて、衝動買いする。

神戸駅まで歩き、本屋でシーナ・アイエンガーの「選択日記」を買う。