珈琲とエンピツ

映画のタイトルである。

手話サークルの1年生、3人で見に行った。神戸アートビレッジセンターの映画館。

自身も聾者である今村彩子監督のドキュメンタリー映画

聾者で、サーファーであり、サーフボード職人で、サーフショップの店長でもある太田辰郎さんが主人公。珈琲とエンピツで言葉を超えたコミュニケーションがとれる人。

サーフボード職人として一流の技術を持つにいたるまでの聴者である師との具体的交流、あきらめない一念が岩を穿つ。その過程で手に入れた自信が彼の笑顔にある包容力となる。

監督自身の自己変容も起こる。
今までの作品は自分自身が聾者であることにより、不便な生活に対する「怒り」と「孤独」が制作エネルギーになっていた。−−字幕が付かないために邦画を見ることができない、手話通訳が不十分でイベントやセミナーに参加できない----しかし、次第に虚無感を覚えるようになり、まったく制作意欲が湧かなくなった。
彼女の他の作品は見ていないのでわからないのだが、この作品は彼女自身がナレーションをし、字幕が出る。彼女がナレーターであるということが彼女の変容を伝えているのかもしれない。私は聴覚障害者で聴者である人には発音がわかりづらいところがあるかもしれない、でもそれが私です、聴いてください。

互いの歩み寄りの気持ち。聾者からも。ということを伝えている映画だ。

見終わって外に出て、見知らぬ人から声をかけられる。この映画に触発されて誰かに聴いてもらいたがっている人という印象で、食事を一緒にして三人三様のアドバイスをする。

帰宅して明日のお茶のお稽古、私の担当分、行の行台子の予習をする。

朝起きると喉がおかしい、咳も出て、風邪のひきかけかも、用心して早めに寝る。