松井冬子その1

美容院に行って家庭画報に目を通していると日本画家の松井冬子が母と名宿を訪ねるという企画に出ていた。

前に茶友に借りた雑誌「なごみ」に出ていてお母さんがながく茶をやってきた人で自分もたしなむというのは読んでいたが、家庭画報ではその母も登場。やはり美人であったが娘のような非の打ちどころのない美人というのではなく可愛らしさも感じさせる人であった。

すると昨日の新聞の文化欄の「ことば」というコラムにも登場していて横浜美術館で開催中の個展でのあいさつがとりあげられていた。

「私は美術館を神聖な場所ととらえています。美術品を見ることで、自分を戒め、問いかける場だと思います」ときりだし、日本画の技法で精密な筆致で死体や幽霊を描き、「現代の病を題材にしている」。賞をとった『世界中の子と友達になれる』という絵のタイトルをこの展覧会の副題にしているが「静岡県の自然の恵まれた町で育ち、友達と遊ぶのが楽しく、このままいけば世界中の子と友達になれると思っていましたが、大人になるにつれて実現不可能な言葉だと思いました」「でも窮地に陥るとこの言葉がふつふつと湧いてくる」と述べ、希望と狂気が交じった世の中での病を集約した言葉ではないかといった考えを示した。

大西若人という記者が書いているが、最後はあなた自身が未消化なまま、あるいは字数制限の中でやむをえずこんな表現になったのか、わけのわからぬ終わり方になっている。冬子女史に悪いと思うよ、これは。

それはさておき、彼女は美人であることが損をするようななかなかの深みを持ち、精進もし、凄みをもつ人物であるようだ。