コシノジュンコ 仕事力 4回シリーズの最終回

私は自分のファッションの仕事を「身につけるものを通してメッセージを届けている」と考えている。

日本人である私自身が持つオリジナルな美を、言語ではない言葉で伝え、会話しているのだ。

日本の優れた文化や深い感性は伝えにくい。

音楽にしても華道にしても書道にしても言語化しにくい。

日本の美はアンバランスな「余白の美」だからだ。

日本人の持つバランス感覚は3対7とか4対6とかで、5対5ではない。不安定な中に自分なりの安定を見つけ出す美学なのだ。

左右対称じゃつまらないという感性を日本人は秘めている。

何か奥深く面白いものを持っていそうな日本という印象は国際的にも知られつつある。

今まであまり外に伝えてこなかった、伝えるのが難しかった日本の文化や感性をこれからは若い人が発信していってほしい。一度外から日本を見てほしい。

空気のようになじんで意識しなかった、文化やファッション、日常のさまざまな美しさが外にはないことを実感できるはず。

「素の日本」を知ればやるべき仕事が見えてくる。