風炉の季節が終わります

明日は「名残り」をテーマにした茶事におよばれしているので、事前勉強をしようと思います。おつきあいください。

あと少しで5月から使ってきた風炉を炉に替えるため、その風炉を惜しむ気持ちが「名残り」です。炉に替えることでとりあわせの道具も炉用に替わります。

慣れ親しんできた道具を仕舞うのでその道具に対する執着というか愛着。それから、日々喫してきた抹茶は去年の11月に茶壺の口を切り、1年間使い続けてきたものです(その昔は)が、そろそろ残り少なくなってきてそれを惜しむ気持ち。この二つと空気が澄み肌寒さを感じ、やがて厳しい冬がやってくる、日々刻々移ろっていく晩秋の変化への愛惜の情を重ねて「名残り」といいます。

茶席においても、少しでも暖かくと火を客の方に近づける中置きの点前をします。点前畳の中央に風炉を置く点前で、普通は風炉の右横に置く水差しを勝手付きに置きます。少し狭くなるので細水指を用います。風炉を板に置かずに五行棚と呼ばれる棚に置くことも多いです。この場合、風炉土風炉を用いるのが約束です。また、鉄風炉で肩や甑の一部が欠けた欠風炉(やつれぶろ)を使うこともあり、その場合は敷板は陶製の敷瓦を使います。また、板で囲われた板風炉を用いることもあります。また、大きな擂鉢を風炉に使うこともあります。

そして擂鉢や欠風炉(やつれぶろ)では灰形を二文字押切にして、その上に藁灰を置きます。この藁灰というのは藁を海水の濃さの塩水に浸し、ホウラクでゆっくり蒸焼きにした炭化した藁のことで、黒い藁灰の中に炭の赤い火がいこっているのは茶席のご馳走です。

また、花も散り遅れた残花や返り咲きの花などを数種取り合わせて活けたりします。

香合に入れる香も夏の使い残りを集めた寄せ香や付け干しを用います。

茶碗も割れやひびを漆や金や鎹で繕ったもの、欠けた部分に他の陶片を継ぎ足した呼継(よびつぎ)などを使って侘びた風情を愉しみます。

さて、明日はご亭主がどんなおもてなしをしてくださるのでしょうか。お心遣いやお気持ちがきちんと受け取れる感度がセンスが少しは成長している私でありますように。