やっぱり大宮エリーが好き

昨日は朝日広告賞の発表があった。講評を大宮エリーが書いている。読んでとてもよかったので、丸写しする。

審査はとても緊張する。諸先輩方にまざって、私なんぞが審査なんて大それたこと。今回こそは辞退しようと思っていた。けれど引き受けてしまった。理由は、あんな風にたくさんの、一流の新聞広告と向き合える場を与えてくれるのにそれを、「大宮が審査かよぉ、偉くなっちゃってぇ」「勘違いしてるんじゃねぇの?」って言われるのが嫌で、逃げだすなんて、小さい人間だな、と思ったからだ。

結果、昨年以上にすがすがしい感動をもらった。長時間にわたる、立ちっぱなしの審査の間、私の心の中に初夏の風が駆け抜けていったのである。ちいさなドキドキと共に。「やだ、面白い---」。言葉のウィット、視覚のウィット、企画のウィット。特に言葉が強かった。審査中、互いに影響されまいという緊張感から、だんまりの時間が流れるのだが、その中、はっきりとどよめきがあった。

グランプリの「高橋真梨子は、ウイスキーである。」皆その前で、言葉に酔いしれ、うーむとうなった。なんて誉め言葉なんだろう、ウイスキーである、だなんて。「高橋40年」という企画ずばりのコピーもイケている。

CHANELだって粋。人のポーズが時計の針と一致し、まるで人が時そのものであるような。私たち自身が時を刻むといいたいのか。「ちょっとで終わる ちょっと劇場」グランプリかと思われる人気者であった。締めが小気味いい。「しかし、どんぶりを食べているうちに、もう忘れていた。」落語だ。「北斗の拳 30th」はこの広告を表にして新聞を電車の中で読みたい。

 日々、消費税とか福島のことや、のっぴきならない問題が多いなかみんなの心が、少しだけ元気を取り戻しているのかもしれない。広告にできることってたくさんありますね。