利休のおもてなし 茶懐石へのいざない

というM新聞の企画を友人が教えてくれた。1万円の参加費で先着100名とある。太閤園での食事だけでなく、講演会と藤田美術館の見学もついている。申し込む。しばらくして参加券が送られてきた。

今日、お茶の友人と行ってきた。

藤田美術館で開催されている「茶道具のいろは」展の解説がまずあった。藤田伝三郎のやしゃ孫で学芸員の藤田清さんがする。藤田美術館に行くと彼が受付に座っていることも多く、さわやか好青年である。

次に映画「利休にたずねよ」の予告編の上映。短い。短すぎる。わずか一分半ほどで終わり、皆さんのため息が聞こえる。

ゲスト(利休にたずねよのプロデューサー、お茶名も持っているというFMラジオのDJのKIYOMIさん、そして藤田清さん)による座談会。司会はM新聞学芸部長。

なかなか興味深い映画の裏話も聞けた。当代の楽さんに頼み込んで利休が実際に使った万代屋黒(もずやぐろ)という楽茶碗を撮影に使って本当に茶を練ったそうである。何百年かおいて(!)お湯を注いだわけでそのときのこの茶碗の艶に引き込まれた、まだまだ生きているぞ、私はという茶碗のつぶやきが聞こえたような気がしたとプロデューサーは言った。海老蔵は撮り直しはないように一回で決める、そうしないと茶碗に失礼だといい、本当にそうできたとのこと。

KIYOMIさんもお茶をずっとやってこられたことがわかるコメントが随所に。

料理も控えめに茶懐石くずしと銘打って工夫された内容だった。昔、太閤園で使う器は京都に専属の窯を持っていてそこで焼いていたそうで、今日の器はその時代のものを使っているとのこと。会場となった淀川邸は今年築99年とのこと。それはそれはりっぱな重厚なお屋敷だった。

食事の後、隣接する藤田美術館へ。古田織部所持の「老僧」に会うのは3回目。田村文琳茶入れの4つある仕覆の日野間道のよろけ縞には心がふるえる。藤田伝三郎は苦労してやっと手に入れたこの文琳で普通ならするお披露目のお茶会をなかなか開かないので譲った人が尋ねるとこれにあわせる大亀香合が手に入らないのだと応えたそうで、病にふせっている死期も近い床で入手できたという報をきき、満足して亡くなったという。

藤田学芸員が館内に立って気軽に質問に応えていたのも好感を持った。

何か抜けている私はデジカメを持って行くのを忘れ、これらは帰宅してからもらった資料を写す。。。

近松門左衛門心中天網島の舞台となった地に立つ太閤園は広大な庭に蛍が放たれるそうで6月いっぱい楽しめるとのこと。

このきっかけをつくってくれたYさん、ありがとうございました。