学校心理士のポイント講習をうける

香雪美術館をでて元町に戻り、会場へ。

講師は京大大学院医学研究科教授 児童精神科医 十一元三氏。

「広汎性発達障害−医療が教育現場に期待する支援のあり方−精神保健の基礎知識−」

4年ぶりぐらいで話を聞く。この方は誠実で、現場に役に立つ具体的な話をしてくださる。今回も改めて優れた方だなと思った。人格が伝わる。

いまや学校の保健室には身体よりもメンタル面で不調を訴えて子どもたちが訪れる。身体は30%、メンタルは小学校でも40%、中学校では47%、高校では44%。平成18年のデータである。

なので学校現場が「健康観察→早期発見・早期対応(介入)」の矢印の部分で適切な判断をして早期発見・早期対応することで重篤化をふせぎたいということで精神疾患の基礎知識、メンタルケアの基礎知識についてまず話された。

PTSDについて特にトピックス的に話をされ、今現在、東日本大震災後のケアにもかかわっておられ、1年半経過した今からがPTSD対応の正念場と気を引き締めていると言われた。

後半は広汎性発達障害(PDD)の話。4年前の知見からずいぶん研究が進んでいることがわかった。従来の疾患と異なる点は「病気」というより「資質特性」であり、適切な教育が大きな適応改善を生むこと、学校の役割が大きいと言われた。学校の枠組みを使って病院ではできないことを学校はやれる。

不登校になる背景は様々だがPDDによる不適応はかなり割合が大きく、あるデータでは8割近いのでは。PDDが背景にある不登校は早期介入をして学校に来させることで改善が図れることが多い。

久しぶりに学校現場の話を聞き、困難な状況がより増していることを実感。養護教諭の先生、学校カウンセラーの方の苦労を思う。

平成20年に50年ぶりに学校保健法が改正された。
第9条(保健指導)
養護教諭その他の職員は相互に連携して健康相談または児童生徒等の健康状態の日常的観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、停滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとともに必要に応じ、その保護者に対して必要な助言を行うものとする。
第10条(地域の医療機関等との連携)
学校においては救急処置、健康相談または保健指導を行うに当たっては、必要に応じ、当該学校の所在する地域の医療機関その他の関係機関との連携を図るよう努めるものとする。

この2つを入れるために十一先生達はずいぶんご苦労されたとのこと。これが入ったおかげで親はうちの子のこと、ほっといてくださいとは言えなくなった。学校を支えようとしてくださる方々の存在の有り難さ----学校はこれに応えて困難な状況を自覚しつつ、人格の育成というミッションを担って歩んでいかなくてはいけない。孤立無援ではないのだから。


終わって外に出ると雨はやんでいた。

2015年までに10ポイント必要だが、これが初めてのポイント。。。県外にも足を伸ばさないといけないかも。