中国陶磁名品展その2

第一章 黎明期から青磁の誕生まで
中国における「やきもの」の誕生は1万年前に遡り、その後、土器に黒や褐色の顔料で文様を描いた彩陶や灰陶が作られた。商の時代には器面に釉薬を施した灰釉陶器が生み出され、後漢時代の成熟した青磁へと発展し、南北朝時代には白磁が出現した。また戦国時代に始まった厚葬(手厚く葬ること)の風習は、秦時代から漢時代にかけてますます盛んとなり、貴人の墓の副葬品(明器)として人の形をした傭や青銅器、漆器を写した灰陶や加彩などが数多く作られた。それとともに鉛釉、褐釉の明器が前漢時代後半から盛んに作られた。

彩陶渦文双耳壺

灰陶加彩雲気文尊

酒を入れる容器。筒型の器の底に梟(ふくろう)の形の足が3本ついている。胴に書かれた雲形の文様は赤、緑、黒、紫の絵具で波形の雲気文が表現され、漢墓の壁画に通じる彩色、文様である。

加彩女子、加彩武人←どうしても画像を回転できません、あしからず

女子の方は着衣は華北特有の袍(わたいれ)。武人の方は踝でしぼったパンツ、厚手のコートを着て胴の上でギュッと締めている。冠をかぶりいかにも役人の顔つき。

緑釉犬

死者が生前、身近において愛玩したのである。この犬も飼い主の死を悲しみ、遠吠えしているようである。緑釉は酸化鉛を媒溶剤とし、酸化銅を加えた釉薬をかけて焼いたもの。

緑釉楼閣

各階は欄干が巡り欄干の上には瓦葺きの屋根がせり出している。屋根には取りがいる。鳥は豊穣を意味し、死者の魂を天空に運ぶ使命を持つ。

青磁神亭壺

壺の上に楼閣を載せた器を神亭壺という。墓室の隅に置かれ亡き人の魂が宿るところからの名前。釉が器面を均等に覆い、素地が緻密な磁器が青磁である。