島根の旅その1

6、7と島根にすむ大学時代の友人Kを訪ねた。

不運にもデジカメはその日から焦点があわなくなった。いったんは合うのだが、撮ろうと押すと途端に焦点がぼけるのだ。そこで写真はすべて友人のデジカメで。なので画像を入手できるのは少し後になる。

まず、袖師焼の窯元を訪ねた。上がり框のところで目に入ったのは6月に訪ねた京都五条坂河井寛次郎記念館でみた寛次郎の仕事に対する心構えを書いた版画だった。二階に上がっても何か記念館に通じる部屋のしつらえだ。事前に読んでおいた「全国茶の湯の旅」では三代尾野敏郎が民芸運動に参加してバーナードリーチにイギリスの製陶を学び朝鮮古陶の技術を生かした民芸調の花器・茶器・酒器などをつくったとあり、友人にそのにわか仕込みの知識を語っていたら補うように図録や歴史を奥から出てきて話してくださった。四代尾野晋也さんの奥さんだった。素敵な方。彼女も義父の師である河井寛次郎に特別の思いを抱いて記念館に足を運んでいるようだった。

同じく島根に住んで医者をしている(結婚して夫の郷里に帰り子どもを育てながら医科大学に入り医者に)大学時代の友人Nが10年ほど前に玉造温泉でやった同窓会で参加者に自分が好きな袖師焼だといってペアのコーヒーカップをプレゼントしてくれ、しばらくしまいこんでいたのが何年か前から使い始めたところ、使うほどに愛着が出てくるこの器に関心を抱き、今回Kに希望を伝えていたのだった。

もらったとき、なんと地味な焼き物だろうとしか思わなかった私。使い始めて愛着を覚え、またこの数年お茶の勉強を通して焼き物に興味が出てきて、ようやくよさに気づいて、思ったのはNの優れたセンスだった。それとともに焼き物音痴であった人間でも学べば理解できるようになることのすばらしさ、うれしさだった。

今回の旅のスタートの幸運に感謝。